ちょっと得するかも？３（クラッチの遊びを確認しよう、外注、ガラス）

ちょっと得するかも？

知ってるとちょっと得するかもしれない？話や、簡単に出来る点検方法を紹介します。
点検は簡単ですが、必ず自己責任でお願いします。

車には色々な所に「遊び」が存在します。
「遊び」とは、
「余裕」を持たせている箇所とか、「隙間」をとってある箇所の事を指します。
「遊び」が無いと、部品が故障したり、調整が出来なくなったりします。
ここではわかりやすい例として「クラッチの遊び」について書いてみたいと思います。
　

ＭＴ（手動変速機）の車に乗られている方々で、「クラッチが滑る」という事を経験した人も多いと思います。

「クラッチが滑る」とは、走行中アクセルペダルを踏み込んでも、エンジン回転だけがあがり、スピードがついて行かない事を言います。そのまま走行を続けると、全く走行できなくなります。
クラッチが滑り出したら、アクセルをなるべく踏み込まないようにして走行し、近くの整備工場で診てもらいましょう。
一般の方は、滑り出すとスピードが出ないので、なおさらアクセルを踏み込んでしまうようです。これではクラッチディスクがあっという間に焼けてしまい、すぐに走行できなくなります。

話がそれてしまいましたが、クラッチが滑る現象は、クラッチの「遊び」が全く無くなったために起こります。
「遊び」が全く無くなるとクラッチワイヤーが突っ張った状態になり、クラッチペダルを放していても、半クラッチ状態になってしまいます。これが「滑る」原因です。

クラッチディスクは消耗品で、磨耗してくると、「遊び」が少なくなってきますので、磨耗の度合いに合わせた「遊び」の調整が必要です。日頃から、クラッチの「遊び」があるか点検するようにしましょう。
クラッチディスク

クラッチディスク

次の方法でクラッチの「遊び」を点検できます。

１	車の、サイドブレーキ（パーキングブレーキ）がきちんと引かれていることを確認した後、運転席のシートを一番後ろまで下げます。（エンジンは始動しないで下さい）
２	車を降り、車外から、クラッチペダルを手でゆっくりと（１Ｃｍ/秒位の速さで）、最初は力を入れずに押してみてください。
３	押す途中２箇所ほど引っかかる地点（抵抗のある地点）がある筈です。（この２地点までは軽く手で押せる）
４	ペダルを放した地点から１箇所めの抵抗のある地点までは、クラッチペダルの「遊び」です。
５	１箇所めの抵抗のある地点から２箇所めの抵抗のある地点までが、クラッチワイヤーの「遊び」です。
６	２箇所めの抵抗のある地点からは、手では押すのが辛くなります。ここから先がクラッチの作動する部分です。
７	ごくろうさまでした。シートを元の位置に戻して、確認終了です。時々点検して（最低でも6ヶ月に1回程度）、５の「遊び」が非常に少なくなってきたら要注意です。整備工場で「遊び」を調整してもらってください。
8	追記ワイヤー式クラッチの場合の点検方法です。油圧式クラッチの場合は、「遊び」の調整は不要です。わかり易いように手で点検する方法を紹介しましたが、慣れれば足でも点検できます。「遊び」を調整しても、クラッチディスクが限界まで磨耗している場合は、交換となります。「遊び」の調整を怠ると、すぐにクラッチが滑ります。半クラッチ（半クラ）を多用すると、磨耗が早くなりますので、ほどほどに．．．。(なかには半クラ多用で、1万キロ毎にクラッチ交換する人もいます) クラッチが限界近くまで磨耗すると、床からペダルをけっこう放さないとクラッチがつながらなくなります。逆にクラッチを新品に交換すると、床からペダルを少し放しただけでクラッチがつながりますが、これが正常な状態です。クラッチ交換したお客様で、この件に関してのクレームが時々あります。新車時は少し放しただけでクラッチがつながっていた筈なんですが．．．。補足（03/07/2002）４の「遊び」はとてもわかり辛いです。わからない場合は、４と５を合わせた「遊び」（手で軽く押せる部分）をクラッチの「遊び」と思ってもらって結構です。手で軽く押せる部分が非常に少なくなってきたら調整が必要です。

外注

車の修理に関しては、全て整備工場におまかせ、というかたもおられると思います。
でも車の修理には、各分野のプロがいて、けっこう外注に出す仕事があるんです。
今回はそんな各分野のプロの仕事を紹介したいと思います。

その前に、私が勤めていたディーラーや民間車検場の説明をしなければ．．．。

　・自動車整備工場

車全般の修理、整備を行います。
【国家2級ガソリン自動車整備士】、【国家３級ガソリンエンジン整備士】、【国家2級ジーゼル自動車整備士】、【国家３級ジーゼルエンジン整備士】等の国家資格を持った整備士がいます。ディーラーの整備工場には、国家資格の他に各メーカーが独自に認定した整備士資格（トヨタ1級整備士、日産1級整備士等）があります。ちょっとわかりにくい表記ですが、3級はエンジン専門整備士、2級は車全体の整備士と思ってください。
個人経営などの整備工場は、ほとんどのメーカーの車種に広く浅く対応できる整備のプロと言えます。一般的な故障修理や車検等でしたら、十分対応可能です。
ディーラーの整備工場は、取扱い車種についてはプロ中のプロです。でも他メーカーの車種については、個人経営などの整備工場と比べると実は詳しくないんです。

自動車整備工場で手に負えない修理が、各分野のプロに外注に出されます。

　・自動車の板金屋さん

車の板金屋さんは、皆さんもご存知の通り、事故を起こした車を、板金、塗装等で修理してくれるプロです。
【国家自動車車体整備士】資格をもった整備士がいます。
【板金】の【板】は【鈑】かも知れません。

　・自動車の電装屋さん

車の電装品全般を修理するプロです。主な仕事内容は、エアコンの修理、オルタネータ、スターターの修理やリビルト品（再生品）の販売、オーディオの修理、バッテリーの販売、その他電気系統の故障修理等です。
【国家自動車電気装置整備士】資格をもった整備士がいます。
オルタネータのブラシ交換程度でしたら、整備工場で直します。ダイオード交換とかになると、電装屋さんの出番となります。
現在の車は、コンピュータ制御の部品が増えたので、電装屋さんの仕事は多くなっているようです。

　・自動車の硝子屋さん

車のフロントガラスやリヤガラスの交換や修理をしてくれます。最近のガラスは外しにくいので、板金屋さんもよく硝子屋さんに外注に出すようです。
サイドガラスの交換は、簡単な物は整備工場で行います。

　・ラジエター屋さん

ラジエターコアの交換や、漏れている箇所を専用の溶接で止めてくれます。
最近のラジエターのアッパーやロアタンクは昔と材質が違うため溶接が出来ず、仕事が減少傾向にあるようです。

　・研磨をしてくれる工場

エンジンのシリンダーやシリンダーヘッドの研磨、バルブシートの擦り合わせ、ディスクローターの研磨等をしてもらえるところです。重症のオーバーヒートや、エンジンが磨耗した時にお世話になります。
こちらも最近は、整備工場でエンジンオーバーホールではなく、リビルトエンジンや中古エンジンへの載せ換えが多くなったため、仕事が減少傾向にあるようです。

　・車の内装屋さん

シート生地の破れ補修や張替え、ビニール張り？をしてくれるところです。ビニール張り？とは、よくタクシーのシートや内張りに張ってある物です。

　・テント屋さん

トラック荷台の幌修理や、新品の幌を作ってもらえます。

　・オーディオメーカーのサービスセンター

オーディオ用品の修理の際にお世話になります。

　・ボディーコーティング、錆止め処理、室内クリーニング

それぞれの専門業者に外注に出します。（整備工場で、行う所もあります）

以上は外注先ですが、他にも整備工場への出入り業者はたくさんあります。例えば、

　・部品屋さん

各メーカーの純正部品屋、社外部品屋さん。ほとんど毎日配達に来ます。

　・解体屋さん

車を廃車する時や中古部品の購入時にお世話になります。

　・営業マン

各ディーラーの新車営業マン、中古車センター営業マン、タイヤメーカーの営業マン、自動車保険の営業マン等。

　・タイヤメーカー

タイヤを配達に来ます。再生タイヤのメーカーさんもたまに来てたなー。

　・工具屋さん

整備用工具の販売。

　・再生品屋さん

リビルト（再生品）のエンジンやドライブシャフトの購入時。

　・回収業者さん

廃油の回収業者さんや、鉄くずの回収業者さん、廃タイヤの回収業者さん、等々色々な回収業者さんが来られます。リサイクルは良い事です。

さまざまな業者さんと持ちつ持たれつで整備工場が成り立ってるんです。
でも一番は、お客様あっての整備工場なんですけどね。(^。^)

追記

国家資格の整備士試験は現在、2級と3級しかありません。1級整備士試験は過去に一度も行われた事がありません。なぜ行われないかというと、2級を持っていれば何でも出来るからだそうです。
ところが国が方針転換。平成14年度に史上初の1級試験が行われる事が決まりました。なんでも面接試験があるとか．．．。いまさら何で？という感じです。どうしてでしょうか？
その他の国家資格として【国家自動車シャシ整備士】（ブレーキやサスペンション等の専門）資格や【国家二輪自動車整備士】資格、【国家自動車タイヤ整備士】資格もあります。

ガラス

ほとんどの車のガラスには色が付いています。
「いや、うちの車のガラスは透明ですよ」と言う声が聞こえてきそうですね。
透明だと思われる方は次の方法で確認してみてください。

１	白い紙を用意する。（チラシの裏や、コピー用紙等で結構です）
２	運転席に座り、運転席側の窓ガラスを半分程度開ける。
３	用意した白い紙をガラスの外側に垂らして室内から色を確認します。
４	ガラスにとても薄い色がついている事がわかりましたでしょうか？車種によって青系、緑系、茶系、黒系等の色が、ガラスに着色されています。
５	この方法で確認しても色が付いてない車種は透明ガラスです。ほとんどの車種のガラスは着色ですが、なかには透明のガラスを使用している車種もあります。

もしも車のガラスが割れてしまって見積もりをとりたいときには、車検証の「初年度登録」、「型式」、「型式指定」、「類別区分」と一緒に、ガラス隅に書いてある表示をメモってから業者に電話しましょう。

	1	自動車メーカー名、又はメーカートレードマーク ~~この表示のないものは、純正ガラスではありません。（中古車購入時等の参考にしてください）~~ 訂正(26/02/2002)自動車メーカー名の書いてない車種もあります。車全部のガラスを見渡して１枚だけガラス製造メーカー名が違う場合は過去にガラス交換した可能性があります。
	2	ガラス製造メーカー名、トレードマークＡＳＡＨＩ（旭硝子）、NIPPON SAFETY（日本板硝子）、ＣＥＮＴＲＡＬ（セントラル硝子）等が有名です
	3	ガラス商品名
	4	ＪＩＳマーク
	5	ガラス種類名確か、ＬＰは合わせガラス、ＴＰは強化ガラスだと思います^^;
	他	その他の書かれている表示（Ｍ○○○等）も見積もりする時には控えてください

もし、フロントガラスに大きなヒビが多数入ってしまい前が全く見えなくなってしまったときは、緊急手段としてガラスを割って視界を確保しますが、その際の注意をひとつ。
デフロスター（フロントガラス用の曇り止め）吹き出し口をガムテープや紙などでふさいでからガラスを割ってください。（雑誌などでも可）
そうしないとダクト内にガラス片が入り込み、インパネ全部外してガラス片を出すはめになります。尚、ガラスを割る際にはくれぐれも怪我をしないように注意してください。割った後の走行も超のろのろ運転でお願いします。（ガラス片が降ってきます）
状況が許せるならば、自分で割らずに業者を呼ぶ事をお勧めします。


ヒーターコントロール部の表示	デフロスター吹き出し口

飛び石等で小さな傷（へこみ）が出来てしまった時も、絶対にデフロスターをかけないでください。外気温と室内ガラス温度との差でヒビが一気に大きくなります。（特に真夏のエアコン、真冬のヒーター）
車の振動だけでもヒビが拡がる場合もありますので、小さなへこみでも、すぐ修理に出す事をお勧めします。（小さな傷なら修理可能）

フロントガラスの交換等は、痛い出費となります。トラック等の後輪ダブルタイヤの間に石がはさまってるのを見かけたら、後ろにはつかないようにしましょうね。(・_・)